早期の乳癌では腫瘍部位のみを切除する乳房温存手術の適用が可能である。 腫瘍を完全に切除するためには、正確な腫瘍の位置、形状の把握が重要である。 本稿では乳房温存手術の精度向上を目指した手術支援システムについて述べる。 本システムでは、執刀直前に超音波診断装置によって断層画像を獲得し、 その断層画像系列から3次元腫瘍モデルの再構成を行なう。 次に、3次元腫瘍モデルとビデオカメラからの実写画像とを重ね合わせて表示する。 これまでの触診や超音波断層画像による方法では、 術者が頭の中で3次元的な位置、形状を想像するしかなかったが、 本システムを用いることでより客観的かつ正確な腫瘍の位置、 形状を把握することが可能になる。 手術場にて獲得したデータを用いて実験を行ない、本システムの有効性を示す。
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