空手道とは?

「空手」と聞くと大抵の人は、極真会舘や正道会舘のようなフルコンタクト のものを想像するでしょうが、私がここでいう空手道とは、いわゆる「寸止め」といわれ るものです。

その寸止めの空手道にもいくつかの会派があり、その会派ごとに細かいルールは異なる のですが、ここでは大まかな試合のルールを述べたいと思います。

空手道の試合は、大きく組手試合 型試合に分けられます。以下その各々について説明します。

▼組手試合

組手試合には一対一で行なう個人戦と、数人対数人(3、5、7ぐらい)で行なう 団体戦があります。

組手試合とは、二人の競技者が、互いに自由に技を出し合い、技を極めることによって ポイントを重ねていき、勝敗を決めるものです。

技は突き、蹴り、打ちなどがあり、攻撃部位は、上段(顔面)および中段(胴)と なっています。ポイントを得るためには、技を極めていかなければなりません。 「極める」とは、相手の攻撃部位に技を的確に決めて、技を出し切る寸前で止め (寸止め)、残身をとることをいいます。普通に技が極まると、「技あり」となり、 技を極めた方にポイントが加算されます。また、非常に見事に技が極まった場合や、 上段蹴りを極めた場合、また、(足払いや投げなどで)相手を崩して技を極めた場合には 「一本」となることがあり、「技あり」よりも多くポイントが加算されます。

ポイントの重ね方は、会派によって異なる部分もあるのですが、基本的には、 「技あり」を1ポイント、「一本」を2ポイントとして、それを4ないしは6ポイント 先取りするか、試合時間(2分ないしは3分ぐらい)内に多くとった方の勝ちと なります。試合時間内で同じポイント数であった場合には、まず判定が行なわれ、 その結果試合を有利に進めていた方が勝ちになる場合があります。それでも勝負が つかなかった場合には、延長戦となり、ポイントを先に取った方が勝ちになります (団体戦の場合には引き分け)。

「寸止め」になっているのは、安全面のためであるので、もし誤って(もしくは故意に) 当ててしまった場合には、反則を取られてしまいます。それ以外にもいくつかの反則が あります。それらは以下のようなものです。

反則
相手に当ててしまった場合に取られます。基本的には顔面に当たれば反則と みなされます。また、それ以外でもひどく当たった場合にも取られる場合もあります。
場外
試合場(8m×8m)の外に出てしまった場合に取られます。
無防備
当ててしまった場合には普通は当てた側が反則を取られるのですが、当てられた側が 避けるとか受けるとかいった動作を行なっていないとか故意に当てられにいったような 場合に、当てられた側が取られるようです。この反則は滅多に出ません。

反則には段階があり、それに応じて相手にポイントが加算されてしまいます。

忠告
一回目は忠告となり、注意を受けるだけになります。
警告
二回目は警告となり、相手に「技あり」を与えてしまうことになります。
注意
三回目は注意で、相手に「一本」を与えてしまうことになります。
反則
四回反則を取られるといわゆる「反則負け」になってしまいます。
場外や無防備などの反則は、一回取られる度に上述の段階を一つずつ上がっていくの ですが、 当ててしまった場合には、その度合によっていきなり「警告」や「注意」を取られたり、 相当ひどい場合にはいきなり「反則負け」になってしまいます。

団体戦は、双方から一人ずつ選手を出し合って試合を行なっていき、勝ち数の多い方が 勝ちとなります。基本的には上記のルールと同じなのですが、個々の試合で延長戦が 行なわれないところが違います。また、柔道のような勝ち抜き戦ではなく、毎試合違う 選手で試合を行ないます。

こうすると、引き分けとなった試合があった場合、勝敗数が同じということが起こり 得ます。そのような場合には、まず、双方の総取得ポイント数を比べて、その数が多い 方が勝ちになります。その数も同じであった場合には、代表戦として、双方から一名ずつ 選手を出し、その試合で勝った側の勝ちになります。

組手試合の見所は、やはりスピード感、互いに相手の隙を伺う緊迫感、時々出る上段蹴り などの大技などが挙げられます。ナショナルチームの方々の技を見てると、「この人たち 本当に人間なのか?」と思ったりもします。

▼型試合

型試合にも一人で行なう個人型と、何人かで行なう団体型があります。

型試合は、空手道の技を集めた「型」を演武し、それを審判が採点し、その点数で 勝負を決めるものです。

当然そこには審判の主観が入ってしまうので、それを避けるために、採点方法として、 五人の審判がまず各々点数を出し、そのうちの最高点と最低点を除いた残り3つの合計 点を点数とする方式になっています。

団体型は、演武者が揃って型の演武を行なうものです。従って、演武がきちんとできてい ることはもちろん、演武者の一挙一同が揃っているかどうかも重要になってきます。

型試合の見所は、やはり、演武者が見せる「型」の一挙一同でしょう。時には激しく、 時にはゆっくりと、また、ある時にはどっしりと構えたり、一つの芸術ですらある と思います。

文責:佐藤慎一


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